まだ9月中旬ですが、人気がある専門学校はすでにいくつか募集を締め切っています。志望校が決まっている学生の皆さんには、早めの出願をお勧めします。
さて、この専門学校入試ですが、年々競争が激しくなっていて出願も早期化しています。今日はこれについての感想を述べたいと思います。
本来、進路指導というものは「学生の将来と向き合って共に将来設計を作り上げていく」ものだと考えています。この過程において、学校選びや出願準備なども手伝うわけです。将来設計が固まる時期は学生一人ひとり違うので、その人に合わせたペースで決めていくというのが理想です。
しかし、現実はそう悠長なことを言っていられる状態でもありません。「早く出願しないと受けられる学校がなくなってしまう」ので、いかに早く出願させるかというところに注力して進路指導をしなければならないという実態があります。これは非常に残念な状態です。「早く決断を迫まられたことにより、学生本人が最善な選択ができなかった」ということが現実に発生しています。将来を決める大切な選択なので、本当はゆっくり検討する時間を与えてあげたいところです。
この急いで決断したことの弊害は学生だけではなく、専門学校にも及びます。その学科に合っていない学生が入学してきた場合、学習意欲の低下や実績の低下につながるでしょう。最悪の場合は途中退学ということにもなり、これは学生本人と専門学校の双方にとって不幸な結果になります。
専門学校の立場からしたら、「良い学生を他校に取られる前に早く獲得したい」という思いがあります。そのため、早期に募集をかけて締め切ってしまうところもあるのでしょう。この考え方自体は何も問題ないのですが、早期出願が良い学生の獲得になっているかは疑問です。前述の通り、「焦って進路を決めてその結果ミスマッチが起こる」ということがあるのではないかと思います。
また、早期に学生を獲得しないと入学定員が満たせなくなるという心配をする必要がないほど、日本語学校在籍の留学生は増えてきています。その意味で、早期に学生を獲得するメリットも減ってきていると言えるでしょう。定員に達してしまったあとに、もっと優秀な学生が出願に来るということも発生していることでしょう。どちらかというと、「ゆっくり出願してくる学生のほうが、優秀である」可能性が高いのではないかと思います。その理由は、日本語学校としては「実力が足りていない学生ほど早く出願させて、早期にどこかに合格させたい」と考えているからです。
以上のことをふまえて、専門学校に提案があります。限られた定員の中で、なるべく多くの優秀な学生を獲得する方法は一つだと思います。それは、「優秀な学生から順に合格させていく」ことです。これをすれば、前述のような定員に達してしまった後にもっと優秀な学生が来るということを回避できます。具体的な手法としては以下のようにだんだんと出願資格を緩めていくのが良いのではないでしょうか。
9月「特待生入試」学費などの大幅減免あり。
出願資格:N1取得者、かつ日本語学校の出席率が95%以上
10月「準特待生入試」学費減免あり。
出願資格:N2以上取得者、かつ日本語学校の出席率が90%以上
11月「一般試験」
出願資格;N3以上取得者、かつ日本語学校の出席率が80%以上
こうすれば、専門学校は優秀な学生から順に合格させていくこともできるし、「早く出願しないと、進学できなくなる」ということもなくなるので、不毛な早期出願争いもなくなります。また、特待生入試を受けるために学生がより努力するようになれば、留学生全体のレベルアップも期待できることでしょう。
2019.9.19 山田貴彦