コラム大学専門学校進路指導

【コラム】奨学金の返済延滞率(2/2)

 前回のコラムでは、大学や専門学校が公表する卒業生の「就職先」や「就職率」はその学校の教育の質を測る指標としてはあまり使えないということを書きました。そして、その指標として「奨学金の返済延滞率」を見ることを提案しました。今回は奨学金の返済延滞率の調べ方と、その数字の見方、留意点についてお伝えします。

前回の内容 →【コラム】奨学金の返済延滞率(1/2)
※このコラム内でいう「奨学金」は、「日本学生支援機構の貸与型奨学金」のことを指しています。

日本学生支援機構の貸与型奨学金の概要
まず、日本語学生支援機構の貸与型奨学金の概要をまとめます。貸与型奨学金は、高等教育機関(大学院、大学、短期大学、高等専門学校、専修学校)に在籍している学生が利用できます。成績、出席率、経済状況などを確認した上で支給が決まるので、誰でも利用できるわけではありませんが、普通に学業に勤しんでいれば利用できる可能性が高い奨学金で全学生の約35%が利用しています。この貸与型奨学金ですが、残念ながら外国人留学生は利用できません。外国人で利用できるのは、在留資格が「永住者」や「日本人の配偶者等」など限られた人達だけです。

「貸与型」なので、卒業後就職をして返還をしなければなりません。お金がもらえるわけではないということを考えると、「奨学金」というよりは「教育ローン」、「借金」という名前のほうがふさわしいかもしれません。ただ借金と違い、日本学生支援機構の奨学金には「利率の低さ」と「返済猶予制度」があります。

「利率」は平成31年度で0.002%(※注 返済方法によって利率は変化します)で、この利率の低さは破格です。住宅ローンの利率相場が0.3%~1%、消費者金融の利率相場が3%~18%となっているのと比べてるとよくわかると思います。この利率は市場金利の変動に合わせて変わるものですが、この奨学金の場合、上限利率が3%と決められています。普通のローンは上限が15%~20%までと決まっていますが、これと比べても日本学生支援機構の奨学金が安心して借りられるものだということがわかると思います。

「返済猶予」については、就職ができなかったり、経済状況がよくない場合は手続きをすることで、返済を待ってもらえます。また、月々の返済額も融通が利くので、少しずつ返済していくということも可能です。筆者も学生時代にこの奨学金を利用しましたが、毎月14000円ずつ、12年間かけて返済というプランを選びました。普通に就職できていれば、返せないということはまずないでしょう。

奨学金が返済できない人
というわけで、奨学金が返済できないのは「まともに就職できていない人」か、「返済猶予手続きができない人」か、「返済する気がなくて逃げようとしている人」といって良いと考えます。したがって、奨学金の返済をしない卒業生が多い学校は教育の質が高い優良校とは言えないと筆者は考えます。
10ちなみに、この超低金利の奨学金ですが「延滞金」は高くつきます。延滞金は年利5%となっています。このことを考えても、返せない事情があるなら返済猶予手続きをすべきです。返済手続きをしないということは、このような情報が取れていなかったり、自己の管理ができていなかったり、問題を先送りにして何もできなかったりするということなので、やはり優秀な学生だったとは言えないでしょう。

返済延滞率の調べ方
11奨学金に貸与状況については、各学校ごとのデータを2017年から日本学生支援機構がHP上で公開しています。貸与型奨学金の利用者数、猶予者数、延滞者数など細かくデータが出ているので、大変参考になります。日本学生支援機構のHPから「奨学金」>「学校毎の貸与及び返還に関する情報」とたどっていくと見られます。

【日本学生支援機構、該当ページ https://www.sas.jasso.go.jp/ac/HenkanJohoServlet

12残念ながら各校を比較できるようなリストは作成されていないので、1校1校調べていくしかありません。そういう見方をしたい方は、東洋経済が独自に作成したリストがあるので、それを参考にすると良いと思います。「奨学金 延滞率」と検索すると上位にヒットします。

※参考値 「返済延滞率の平均値」
全体     1.5%
大学院    0.4%
大学     1.3%
短期大学   1.5%
高等専門学校 0.7%
専修学校   2.4%

まとめ
13奨学金の返済延滞率の低さは「その学校の卒業生が社会でちゃんと活躍できているか」を表す一つの指標になるのではないかと思います。もちろん、この数値だけでその学校の質を評価しようとは思いません。「奨学金が返せない状況だが、親が全部払ってくれた」とか、「一部問題学生がいるが、それ以外の学生はとても優秀であり、校内での格差が激しい」とか例外はあると思います。また、奨学金利用者が少ない学校は数名の返済延滞者が出ただけで延滞率がぐっと上がるので、数値を見るときに注意する必要があります。しかし、この数値が大体の傾向を表しているということは間違いないのではないかと思います。
14進路指導をする際に、生徒に「この学校はいい学校ですか」と聞かれたら、奨学金の返済延滞率も調べてみてアドバイスすることをおすすめします。

2019.9.9 山田貴彦

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