【法務省HP http://www.moj.go.jp/content/001305629.pdf】
法務省が「日本語能力に関しCEFRのA2相当以上のレベルであることを証明するための試験」というタイトルの資料を公開しました。これは今月から適用されている改正された「日本語教育機関の告示基準」の第1条第1項第44号に基づくものです。
関連記事 https://teach.midream.ac.jp/2019/08/850/
今回の件を簡単にまとると、「日本語学校は卒業した生徒の中で、何人がN4以上の試験に合格したかをHPで公開するとともに、入国管理局に報告しなければならない。」ということです。この数値は、日本語学校が抹消されずに学校運営をしていくために、とても大切な数字となります。(※詳細については、上記「関連記事」をご覧ください。)
法務省が日本語学校の卒業生に対して「最低でもN4相当の日本語能力を要求する」こと自体は問題ないと思います。日本語学校としては、最低でもその程度の指導はすべきだと思います。しかし、これには一つ問題があります。それは、「N4相当の日本語能力保持者=N4取得者」にはならないということです。
日本語学校の生徒の多くは、進学や就職に使うためにJLPTなどの日本語試験を受験します。大学や専門学校、就職先などが求めるレベルは「最低でもN3」なので、N3から受験することになります。年2回しかない貴重な機会であるJLPTです。それをわざわざ受験料を出してN4から受験するということは稀でしょう。
そうなると、こういうケースが発生します。「N4以上、N3以下相当の日本語能力保持者が、N3に合格できず、そのまま日本語学校を卒業する」ということが起こります。これは非漢字圏学習者に多いでしょう。また、漢字圏学習でも下記のようなケースをよく見かけます。「N3以上の日本語能力を持っているが、N2・N1に挑戦し続けて全て不合格。そしてそのまま卒業していく」こういうケースでも数字上は「N4すら取れていない学生」となってしまいます。
こうなってくると、告示基準で求められているのは「N4以上」であっても、実態としては「N3以上合格」を求められているのとあまり変わらないということになります。この対策については、また次回の記事に書いていきたいと思います。